←字幕関連トピックス

映画/ドラマ紹介-----映画「Coda コーダ あいのうた」

2023年7月21日掲載


(ストーリー)
この映画は、聴覚障害者の家族の中で一人だけ耳が聞こえる高校生のルビーの物語です。ルビーは歌うことが大好きで、音楽教師の勧めで名門音楽大学を目指しますが、家族との絆や漁業との関わりに悩みます。最終的には、家族の理解と支援を得て、自分の夢を追うことを決意します。
この映画は、アカデミー賞史上最多4冠に輝いた名作です。アメリカ手話(ASL)を使用した作品であり、聴覚障害者の役を演じる俳優たちは全員が実際に聞こえない人々です。監督・脚本はシアン・ヘダーで、2014年のフランス映画『エール!』の英語リメイク版です。
この映画の魅力は、ルビーと家族の愛情深い関係や、ルビーと音楽教師やクラスメイトとの成長する交流です。また、漁業の現実や聴覚障害者の社会的な問題も描かれています。音楽も素晴らしく、デヴィッド・ボウイやジョニ・ミッチェルなどの名曲が劇中で歌われます。特に印象的なシーンは、ルビーが手話を交えて歌う試験場面です。ルビーの歌声と表情からは、彼女の家族への愛や自分への信頼が伝わってきます。
『Coda コーダ あいのうた』は、家族や友人、恋人と共に生きる喜びや苦しみを描いた感動的な映画です。笑いあり涙ありのストーリーに引き込まれること間違いなしです。ぜひご覧ください。

(みどころ)
この映画の見どころは、やはり映画中で使われる手話です。
実は、この映画では、ろう者の役を実際にろう者の俳優たちが演じています。そのため、手話の表現がとてもリアルで感情豊かです。
手話演技監督を務めたアレクサンドリア・ウェイルズさんは、地域や時代に合わせて適切な手話を選んだそうです。例えば、舞台となるマサチューセッツ州では、 「ボストン」や「ロブスター」という単語の手話が他の地域と違うんですって。私は手話がわからないので、字幕を見ながら見ましたが、手話だけでも十分に物語が伝わってくるような気がしました。 特に、父親役のトロイ・コッツァーさんの演技は素晴らしかったです。彼はアカデミー助演男優賞を受賞したんですよ。彼は手話で笑いを誘ったり、涙を誘ったり、家族への愛情を表現したりしていました。 彼はインタビューで、「手話は本当に豊かな言語です。文字で書かれたものよりも、はるかに多くの情報を伝えることができます」と言っていました。 私もその言葉に同感です。この映画を見て、手話の魅力に触れることができました。「CODA 愛のうた」は、ろう者と聴者の架け橋となる作品だと思います。
音楽と手話という異なる言語が織りなす物語に感動しました。みなさんもぜひ見てみてください。

(IAUD 松森の感想)
ろう者の俳優がエンターテインメントを成立させた素晴らしい作品だと思いました! 「ろう者の役をろう者自身が演じる」ということは 日本ではとても少なく、聴者が演じることがほとんどです。 でも、手話は顔の表情や頷き、空間を使った動きやスピード、強弱などで微細な感情を伝える言語なんです。 音がない世界で生きる「身体の使い方」もちがいます。 結果的に、誤った認識や偏見を植え付けてしまう可能性があります。 だからこそ、当事者が演じる事が重要なのです。
アメリカの映画やドラマでは、人種やジェンダー、障害などのマイノリティ役には 当事者の俳優を起用する動きが広がっています。 日本でもそうなっていくためには、制作の現場や意思決定の場に当事者が関わっていくことが重要です。
CM字幕プロジェクトも、当事者が入っていくことで「聞こえることが前提」の在り方を変えていきたいと思っています。 えっと、この作品の感想でしたっけ! 家族の問題って、普遍的なテーマですよね。 父と娘、母と娘、兄と妹、先生と生徒、様々な愛の形があり 聴者の文化とろう者の文化のぶつかり合いと交ざり合いが 時にはお下劣な手話も(かなり)あったりと、視覚的な言語から一瞬も目をそらせない映画でした。