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映画「Coda コーダ あいのうた」

2022年9月6日掲載


(寸評)
この映画は、聴覚障害者の家族の中で一人だけ耳が聞こえる高校生のルビーの物語です。ルビーは歌うことが大好きで、音楽教師の勧めで名門音楽大学を目指しますが、家族との絆や漁業との関わりに悩みます。最終的には、家族の理解と支援を得て、自分の夢を追うことを決意します。
この映画は、2021年にサンダンス映画祭で史上最多4冠に輝き、世界を沸かせた感動作です。アメリカ手話(ASL)を40%使用した作品であり、聴覚障害者の役を演じる俳優たちは全員が実際に聞こえない人々です。監督・脚本はシアン・ヘダーで、2014年のフランス映画『エール!』の英語リメイク版です。
この映画の魅力は、ルビーと家族の愛情深い関係や、ルビーと音楽教師やクラスメイトとの成長する交流です。また、漁業の現実や聴覚障害者の社会的な問題も描かれています。音楽も素晴らしく、デヴィッド・ボウイやジョニ・ミッチェルなどの名曲が劇中で歌われます。特に印象的なシーンは、ルビーが手話を交えて歌う試験場面です。ルビーの歌声と表情からは、彼女の家族への愛や自分への信頼が伝わってきます。
『Coda コーダ あいのうた』は、家族や友人、恋人と共に生きる喜びや苦しみを描いた感動的な映画です。笑いあり涙ありのストーリーに引き込まれること間違いなしです。ぜひご覧ください。

(手話のみどころ)
この映画の見どころは、やはり映画中で使われる手話です。
実は、この映画では、ろう者の役を実際にろう者の俳優たちが演じています。そのため、手話の表現がとてもリアルで感情豊かです。
手話演技監督を務めたアレクサンドリア・ウェイルズさんは、地域や時代に合わせて適切な手話を選んだそうです。例えば、舞台となるマサチューセッツ州では、 「ボストン」や「ロブスター」という単語の手話が他の地域と違うんですって。私は手話がわからないので、字幕を見ながら見ましたが、手話だけでも十分に物語が伝わってくるような気がしました。 特に、父親役のトロイ・コッツァーさんの演技は素晴らしかったです。彼はアカデミー助演男優賞を受賞したんですよ。彼は手話で笑いを誘ったり、涙を誘ったり、家族への愛情を表現したりしていました。 彼はインタビューで、「手話は本当に豊かな言語です。文字で書かれたものよりも、はるかに多くの情報を伝えることができます」と言っていました。 私もその言葉に同感です。この映画を見て、手話の魅力に触れることができました。「CODA 愛のうた」は、ろう者と聴者の架け橋となる作品だと思います。
音楽と手話という異なる言語が織りなす物語に感動しました。みなさんもぜひ見てみてください。