ノルウェーのUD:境界を押し広げ、国の考え方を変える
オンニ・エイクハウグ
ノルウェーデザイン協議会代表:ノルウェー
私たちは国全体の考え方を変え、その国を2025年までにユニヴァーサルデザイン化することは可能だろうか。これは、ユニヴァーサルデザインを日常化することを目指して、ノルウェーが取り組んでいるチャレンジである。ノルウェーは現在、ユニヴァーサルデザインが法制化されている唯一の国であり、公共のスペースからウェブサイトに至るまで数多くの場所や状況でユニヴァーサルデザインが法律で義務づけられている。これを推進する重要な枠組みとなっているのがノルウェー政府のユニヴァーサルデザイン行動計画である。この行動計画は、平等と包摂に関する人権を法制化する上でのパラダイムシフトである。
講演では、ノルウェーにおいてユニヴァーサルデザインがますます重要視されるようになってきた要因を概説し、女性の社会進出の経緯の他、ジェンダー、障害、人種、年齢に関する包摂と差別撤廃に関連した重要な出来事など歴史的背景を説明する。さらに、成功事例や障害要因を含め、ユニヴァーサルデザインの最近の動向を概観する。政府や王室のスピーチを視覚化してそのメッセージを明確に伝える映像とともに、実例やケーススタディを紹介する。デザイナーや研究者個人、組織あるいはセクターに働きかけるだけでなく、「どうしたら国を変えることができるか」という、より大きな課題に取り組むアプローチを概説する。